更新:2021年1月27日
行政書士 佐久間毅
この記事では、中国人と日本人が国際結婚をするときに必要となる婚姻要件具備証明書の取得方法についてわかりやすく解説します。
日本で先に結婚手続きをするときには中国人が婚姻要件具備証明書を取得し、中国で先に結婚手続きをするときには日本人が婚姻要件具備証明書を取得します。
婚姻要件具備証明書とは、A国人とB国人とがA国で結婚をするときに、B国政府がB国の法律にのっとり、B国人が結婚することができることを証明するために発行する書面です。
A国政府はB国の法律で定められた婚姻要件をリアルタイムで把握していませんし、仮に把握していてもB国人の個人情報を把握していないことから必要となる書類です。
簡単に言えば、B国政府がA国政府に対して、B国人が結婚できる状況にあることを伝達する書面といえます。
婚姻要件具備証明書はその名のとおり、法律が要求する結婚するための要件(=婚姻要件)をすべて満たしている(=具備)していることを証明してくれますが、国によって呼び名が異なり、また、そもそも婚姻要件具備証明書を発行してくれない国もあります。
◆国により異なる婚姻要件具備証明書の呼び名
Certificate of no impediment to marriage ・・・オーストラリア
Certificate of legal capacity to contract marriage・・・フィリピン
Certificate of freedom to marry ・・・アイルランド
A国で先行して国際結婚をするときにはB国人の婚姻要件具備証明書が必要となり、B国で先行して国際結婚をするときにはA国人の婚姻要件具備証明書が必要となるのが通常ですが、
なかには自国(A国)の婚姻要件具備証明書を発行するための必要書類として、結婚相手の婚姻要件具備証明書(B国)を要求する国もあり、このような国の人と国際結婚をするときには、結局のところ、A国人とB国人双方の婚姻要件具備証明書を取得しなければ国際結婚が成立しません。
日本先行で結婚するために中国人に婚姻要件具備証明書が必要な場合には、在日中国大使館で取得することができます。
なお、中国法における中国人の結婚要件はつぎのページで確認できます。これら婚姻要件をすべて満たしていることを「声明書」を用いて宣誓します。
中国の婚姻要件具備証明書は本人が婚姻要件をすべて満たしていると宣誓しているにすぎませんが、アメリカやイギリスも同様の制度(Affidavit)です。
〇よく一緒に読まれている記事
・中国の結婚要件・婚姻要件
◆中国駐日本国大使館・領事館で「婚姻要件具備証明書」を取得する方法
【必要書類】
・中国パスポート原本と写真ページのコピー
・住民票原本(3ヶ月以内有効)あるいは在留カード原本及び両面コピー
・声明書
・申請書
・その他指示されたもの
【注意事項】
・日本に短期滞在している中国人の場合はパスポート以外に中国国内の公証役場が発行した「未婚声明書」を提出する必要があります。
・中国香港・マカオの身分証所持者で、日本定住していない場合は、香港・マカオの関係機関が発行した「独身証明」を提出することが必要です。
〇参照:中国駐日本国大使館ホームページ
中国先行で結婚するために日本人に婚姻要件具備証明書が必要な場合には、日本国内の法務局または在中国日本国大使館・総領事館で取得することができます。
◆法務局で婚姻要件具備証明書を取得する方法
【必要書類】
・日本人の戸籍謄本又は抄本(なるべく新しいもの) 1通
・日本人のパスポート又は運転免許証等の身分証明書
【注意事項】
・婚姻要件具備証明書は市区町村役場でも発行されますが、中国は地方自治体ではなく国家機関である法務局又は地方法務局及びその支局で発行したものでなければ認めていないので法務局で取得しましょう。
・結婚相手の中国人の氏名の漢字表記がいわゆる簡体字かどうかを確認の上、簡体字のときは対応する日本における正字を確認します。
〇参照:東京法務局ホームページ
◆在中国日本国大使館・総領事館で婚姻要件具備証明書を取得する方法
日本の法務局で取得しなくても、中国にある日本国大使館・総領事館で日本人の婚姻要件具備証明書を取得することができます。
婚姻相手(中国人)の戸籍所在地が日本国大使館・日本国総領事館の管轄と一致していないときには、現地の婚姻登記所が受付しないおそれがありますので、かならず事前に確認しましょう。
【必要書類】
(日本人)
・パスポート
・戸籍謄本:1通(発行から3か月以内のもの)
・申請書
(中国人)
・居民身分証
・居民戸口簿(現在、婚姻していないことが確認できるもの)
【所要日数】
・当日交付
【手数料】
・75元(現金のみ)
〇参照:在中国日本国大使館ホームページ
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザ
国際結婚と配偶者ビザ